メッセージアプリを使った詐欺が増えています。その1つがall chat詐欺です。
本記事では、被害事例をもとに「all chat詐欺の手口、詐欺に遭ってしまったときの相談窓口の選び方」をまとめます。
なお、all chat詐欺の被害に遭ってしまった方は、弁護士による返金請求でお金を取り戻せる可能性があります。
お困りの方は、FDR法律事務所までお気軽にご相談ください。
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all chat詐欺とは
all chat詐欺とは、「副業・投資をやりたい」とネット広告などにアクセスしてきた人を連絡用アプリ「all chat」に誘導して行われる詐欺です。
アクセスしてきたユーザーに対し、副業を紹介したり、投資セミナーへの参加を呼びかけたりします。
初めは少額の報酬を出しますが、慣れてきたころにトラブルをでっち上げ、その解決金として高額な金銭を要求する、というのがよくあるパターンです。
all chat詐欺の手口
具体的には以下の手法でお金を騙し取ります。
all chat詐欺にはまるキッカケ
きっかけとして
- ネット広告
- 対面
の2パターンが見受けられます。
ネット広告では「1日5分の作業で日給2万円」「挫折させない投資」など、軽作業で2〜3万円程度稼げるような印象を抱かせるようなコピーが使われています。
コピーで気を引いたあと、詐欺グループのメンバーは、「稼げる事実」としてフェイクの口座画像、資産運用の実績画像を見せてall chatに誘導します。
対面の場合は詐欺グループのメンバーが実際に接触してきます。
対面においても、フェイクの口座画像、資産運用の実績画像を見せて「稼げる事実」を伝え勧誘しようとしてきます。
対面の場合「詐欺」とは気づいていないケースも
対面の場合、詐欺を勧めてきた人も、自分のやっていることが詐欺だと気づいていないケースもあります。
詳しくは後述しますが、all chat詐欺は少額の報酬が発生します。
詐欺は、お金や情報を騙し取る行為です。
その中で、少額と言えど報酬があることに違和感をいだく方もいるでしょう。
しかし、それが罠です。報酬を得られるからこそ騙すほうも詐欺だと気づかず、その話をされた私たちも「普段会っている〇〇さんだから大丈夫だ」と思ってしまうのです。
より厳密に言えば、グループの主犯メンバーであれば、詐欺をしている自覚があるでしょう。
しかし、ネズミ講の受け子。いわゆる、下請けの下請けのような立場であれば、自身が詐欺に加担しているとは気づかないまま、そこに加わっている人は少なくありません。
仕事を紹介される
all chatに移行後、すぐにお金をだまし取らず、まずは「案件」と称し仕事を紹介されます。
任されるのは、YouTubeの動画に高評価をつける、ブログにコメントを書くといった軽作業です。
報酬が出る
タスクを達成すると、詐欺グループから1件500円〜1000円程度の報酬が支払われます。
1件500円と言えど、毎日10件やれば報酬は5000円になります。しかも、内容は5分〜10分で終わる軽作業です。
毎日5000円のお小遣いがあれば、ランチでちょっと贅沢できますし、残ったお金を1日2000円ずつ貯めれば、1ヵ月で6万円の貯蓄ができます。
「500円」と聞くと、安く感じるかもしれませんが、作業時間と報酬を考えると、これが続くならコストパフォーマンスは悪くないと言って良いでしょう。
報酬が段階的に上がる
「怪しい」とは思いながらも、実際に報酬を確認できれば誰しも警戒心は緩みます。
警戒品が緩んだタイミングで「実はもっと稼げる案件が」と、別の作業に誘導されます。
最初の軽作業の報酬は、1件500円〜1000円程度でしたが、段階を経ると、1件2万・1件7万へと跳ね上がります。
トラブルを申告される
報酬を出し、こちらの警戒心が薄れたころに「トラブル」を申告されます。
トラブルの解決金として10万円以上の金銭を要求されるケースが目立ちます。
「解決金を出してもらえなければ、こちらも今までの報酬を出せない」など、言葉巧みに金銭の振り込みを迫られます。
all chat詐欺の被害
all chat詐欺の被害として、以下の事例が報告されています。
以下、事例の一部抜粋です。
ウェブ広告
「副業で月に10万円稼ぎたい」という30代男性。Xを見て副業にチャレンジしたいと広告をタップ。
「A」と名乗る人物から、XのDMで業務と運営会社の説明を受けたあと、all chatへと誘導される。
仕事の内容は、通販サイトで指定された商品を「お気に入り登録する」というものだった。
作業の証拠として、お気に入り画面のキャプチャーを撮影し、all chatで送るというものだった。報酬は1件1000円。
登録後、サポート代金として3000円を要求される。
支払い後、業務が始まり、報酬も滞りなく支払われた。
その後、「次の案件」として家電の仕入れリスト作成を依頼される。
関数とAIでリストを作成するだけなので、作業は15分程度で完了させられる内容だった。
報酬は1リストあたり2万円。
報酬もよかったので引き受けることに。こちらも報酬の支払いは問題なし。
そんなある日「業務にミスがあった」とAから連絡が入る。
詳細を尋ねるもAは教えてくれず。それどころか、解決金として約15万円の支払いを求められる。
支払いを拒むと、Aから「それなら今までの報酬も返してもらう。ミスした分は今後の仕事で返してくれれば」と言われる。
男性は渋々支払ったが、Aの対応に不信感をいだき、「詐欺にあった」と思い、相談機関へ。
投資
50代女性。投資で資産を増やしたいとFacebookの広告をクリック。
証券会社のアナリスト「B」から連絡があり、投資を頑張りたい人が集まるall chat上のグループに招待される。
all chatにて、Bが講師を務める「投資勉強会」の案内を受ける。受講料は20万円。
「ちょっと怪しい」とは思ったが、「投資に失敗したくない」と考え、20万円支払った。
講義を聞いてみると、入門書に書いてあるような内容ばかりだったが、同じ志をもった人同士の繋がりは安心できたし、「回を重ねればタメになる情報を聞けるかもしれないと参加を継続。
その後3回、講義に参加したが、目新しい情報は聞けず。
総額213万円を支払ったところで、相談機関へ向かった。
内職
40代女性。Instagramで「自宅で副収入」との広告を発見。
気になったので広告からコンタクトをとった。
すると、サポーターを名乗る女性Cから折り返しがあり、alllchat上で仕事の説明を受けることに。
仕事は「ネットの広告について調べる。Fが作成した報告シートの内容に沿って、広告の情報をまとめる」というものだった。
女性は、PC操作にやや苦手意識があったが、他に自宅でできる作業がなかったので、やってみることにした。
報酬は1リストあたり1万円。
女性は1ヵ月の稼働で4万円の報酬を獲得。
その後、次のタスクとしてFXを進められ、その際、授業料として8万円入金。
事前説明において「もし、入金いただいた8万円以上の損失があった場合には、弊社にて8万円と損失額の70%を保証する」という旨の覚え書きを交わした。
にも関わらず、損失額が8万円を超えたとき、Fからは「自己責任」と言われ、返金保証にも応じてもらえなかった。
all chat詐欺の特徴
all chat詐欺の特徴として、以下の4つが挙げられます。
「前金」「準備資金」などの名目で少額金銭を要求される
事例にもありましたが、「前金」「準備資金」といった名目で5000円〜1万円程度の金銭を支払わせるケースが多く見受けられます。
信頼させて、トラブルへ巻き込む
all chat詐欺の場合は、最初のタスクでは報酬を出し、案件が新しくなったタイミングでトラブルへ巻き込まれるケースが見受けられます。
しかも一方的に「トラブル」と言われるだけで、その詳細は教えてもらえません。
「やれば稼げる」と言われる
お金を取られるだけなら「詐欺だ」と気づきやすいですが、all chat詐欺の場合は、少額の報酬が発生します。
実績を示し、「やれば稼げるんですよ」と言って、丸め込んで詐欺から抜けられないようにするのも特徴の1つです。
誘導先はall chatだけではない
all-chatに誘導する誘導の目的は、ネット広告という不特定多数の人が見る場から、あなたと2人になることです。
目的を達成できれば、使うアプリは必ずしもall chatである必要はありません。
実際に、LINE・Instagram(のDM)・Discordを使った詐欺被害も報告されています。
all chat詐欺に合ったときの相談先と対処法
詐欺か否か判断が難しいall chat詐欺ですが、ご自身が違和感を感じたらすぐに抜け出す準備をすべきです。
具体的な相談先としては
- 弁護士
- 警察
- 消費者相談センター
の3つです。
以下に、3機関の特徴を表と文章でまとめました。
弁護士 | 警察 | 消費者相談センター | |
---|---|---|---|
情報収集 | 実際の判例が分かる | 見込めない | 可能 |
法的対応 | 対応してくれる | 被害届の受理まで | 見込めない |
救済 | 過去の判例をもとに対策を考えてくれる | 見込めない | アドバイスのみ |
弁護士
all chat詐欺は報酬が得られる分、こちらの受けた被害が「詐欺」と認定されるまで時間がかかります。
認定されにくい詐欺の場合は、実際の判例を見ている弁護士に相談すると、今後の道筋を立てやすくなります。
加えて、詐欺グループはあなたを詐欺から抜け出させまいと裁判をチラつかせてくる可能性もあります。
初めに弁護士に相談しておけば、詐欺グループに脅された場合も、弁護士に対応を仰ぐことができるので安心です。
警察
弁護士への相談と合わせて警察に被害届を出しておきましょう。
とは言え、all chat詐欺の場合は報酬が出るという性質上、「仕事として成立している」と誤解され、警察が被害届をすぐに受理しない場合もあります。
その場合は、弁護士と一緒に被害届を出しにいくのが良いでしょう。
第三者の客観的な視点を交えて被害を訴えると、情報の信憑性が高くみられます。
消費者相談センター
消費者相談センターは、被害にあったときの窓口になってくれます。
しかし、ここはその名のとおり、相談窓口であって、直接的な解決策を提示してくれる場所ではありません。
情報を集める点においては有効ですが、直接的な問題解決への貢献度を踏まえ、最後の3つめに書いています。